音楽家のキャリア紹介:東京交響楽団 ヴァイオリニスト 中村楓子さん

<中村楓子さんプロフィール>

5歳よりヴァイオリンを始める。桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)を卒業後、桐朋学園大学音楽学部カレッジ・ディプロマコース在籍中に東京交響楽団のオーディションに合格。現在、東京交響楽団第1ヴァイオリン奏者。第65,66回全日本学生音楽コンクール東京大会バイオリン部門高校の部入選。第22回日本クラシック音楽コンクール高校女子の部 第4位。第7回横浜国際音楽コンクール弦楽器部門 大学の部 第1位。2011年 桐朋Students’ concert、桐朋学園音楽部門 平成24年度高校卒業演奏会、第20回河口湖ヴァイオリン・セミナー優秀者によるハーフリサイタル“新しい風”などに出演。アフィニス夏の音楽祭2016山形に参加。これまでにヴァイオリンを宮崎ありさ、吉野薫、

田弓乃の各氏に師事。

オーケストラのオーディションを受けたきっかけ


ミュージックメイト(以下、MM):本日はお時間ありがとうございます。また先日は東京交響楽団インターンシップでもお世話になりました♪中村さんは、東京交響楽団(以下、東響)に入団されて、現在4年目ですね。オーケストラ奏者を志すには、どんなきっかけがあったのでしょう?

 

中村さん(以下、中村):音楽高校を卒業後、ディプロマコースへ進み、その2年目にオーディションを受けました。学部ではなくディプロマコースに進んだ理由は、経済的な事情や、自分の勉強したいことに合った環境等を考慮した結果です。ですからカレッジ在籍中は、早く手に職をつけたいという気持ちがありました。演奏を仕事にしていきたいと考えたとき、先生になり生徒に教えることや、ソリストとして活躍するなど様々な選択肢があります。その中で私は、オーケストラへの入団を目標に決めました。音楽高校時代のオーケストラの経験が楽しかったこともきっかけとして大きいです。やっぱりみんなで一緒に弾くのが好きですね。

 

MM:オーケストラのオーディションへは、どんな準備があるのでしょうか?

 

中村:師事していた先生にオーケストラ入団を目指したいという気持ちをお伝えしたときには、「暇さえあればオーケストラ・スタディのレパートリーを増やして、片っ端からオーディションを受けるように」とアドバイスをいただきました。『オーケストラ・スタディ集』のような、オーケストラ・スタディばかりまとめて載っている楽譜があると教えていただき、それを少しずつさらっていくようにと言われました。オーディションについては、「20個以上受けて1つ受かれば良い方。海外のオーケストラも視野に入れて準備するように」と…。運がよければ、色んな楽団の募集の時期が重なることもあるのですが、やはり欠員などが出ない限り滅多に募集の無い時期もありますし、その場合は数年に1度のチャンスです。また、課題曲もオーケストラによって様々です。東響のオーディションの課題曲は、オーディションと近い時期に他の本番でも弾く機会があったので、タイミングにも恵まれました。東響のような素晴らしいオーケストラにご縁をいただけたことは、本当に嬉しいです。

 

東京交響楽団への入団と、自身の変化


MM:インターンの際には、「世界一忙しいオーケストラ」ともお聞きしたのですが…そんな中たくさんの曲を、どうやって練習しているのでしょうか?

 

中村:入団したばかりのときよりは、やっと少し慣れてきた気がしますが、最初は新曲をこなすだけでも必死でした。年数を重ねるにつれて、「やったことある!」という曲が増えてきたので助かっていますが、最初は演奏したことのない曲や聴いたことのない知らない曲も多く、また、オーケストラに入るまでは勉強する機会の少ない作曲家…例えばマーラーやブルックナーなどは、譜読みだけでなく演奏技術としても、弾けるようになるまで最初はかなり時間がかかってしまって。

 

MM:時間の使い方や効率化なども、秘訣があれば是非教えてください。

 

中村:弾けない時間、例えば電車の中でもざざっと楽譜を見て、難しそうなところのチェックだけでも済ませておきます。そして弾ける時間には優先してそこから取り組むとか…。学生時代は、今考えると練習する時間はたくさんあって、最初からとりあえず弾いていたのですけれどね。やはり働き始めてからは同じやり方では通用しないので、自分で気づいて、変えていかなければなりません。

 

MM:入団後のご自身の演奏について、何か変化を感じていますか?

 

中村:やっぱり、入団前よりは演奏が上手くなったのではないかと…いや、まだまだなのですが…でもそう思っています。団員の皆様の素晴らしい音を聴き、日々学ばせていただいています。同じヴァイオリンだけでなく、もちろん他の楽器の皆様からも。そして素晴らしいソリストや指揮者が来てくださることもモチベーションになりますし、自分としてもイメージの幅が広がりました。私は今までの人生の経験上、「自分は新しい環境に慣れるのに3年かかる」と自覚があるのですが、やっぱり東響も最初の3年は大変だったように思います。入団して4年、最近になりやっと学んだことを自分のものにして、実っていく・活かしていくことが少しずつ出来てきたような気がしています。

 

仕事をしながら自分を高めていく工夫


中村:一方、オーケストラの仕事を一生懸命やっていると、自分としては「頑張ってる!」という充実感があるのですが、実はそれだけでは足りないと思っています。というのは、今後演奏家として長く活躍するためには、オーケストラの活動だけでは不足しがちなソロ曲・室内楽曲の勉強や経験も必要と考えたからです。友人との自主企画コンサートでソロや二重奏、室内楽を演奏するなど、オーケストラ以外でもなるべく多くの演奏機会を作り、挑戦するようにしています。

 

MM:中村さんは、大変なスケジュールであるほど燃えるというか、鼓舞されるタイプでしょうか?私は逆に、大変すぎて追われすぎると自信が無くなったり、気を病んでしまったりということがあります。スケジュールを入れすぎないように慎重になるタイプかもしれないです…。

 

中村:そう、私は追われて頑張れるタイプというか、お尻を叩かれないと何もしないというか・・・(笑)。人それぞれ色んなタイプがあると思います。自分がどういうタイプの人間か分かっていることも大事だなと感じています。「どんなスケジュールだとベストなパフォーマンスをできるのか」といった見極めも大切です。先ほど、団員の皆さんが上手でモチベーションになるとお伝えしましたが、私のように周りの人からモチベーションを受けるタイプ、そうではなく自分がリーダーとなって引っ張っていくのが合うタイプの方など、様々ですよね。

 

MM:中村さん以外の団員の皆様も、オーケストラのお仕事と、個人でのお仕事を両立されているのですね。

 

中村:オーケストラの先輩方は先生として教えている方や、ソロ活動もされている方、他のオーケストラにゲストで呼ばれて演奏する方もいらっしゃいます。お忙しい中でどうやって練習しているのか、本当にびっくりしてしまいます。というか、ミュージックメイトさんってすごいですよね。会社のお仕事と演奏活動のWキャリアを両立されているのですから。

 

MM:そんな、ありがとうございます…!演奏のお仕事に注力されている中村さんが温かくご理解くださるのは、すごく嬉しいですね。

 

今後の目標と学生へのメッセージ


MM:今後は、どのような目標がありますか?

 

中村:私は東響でのオーケストラのお仕事をこれからも続けていきたいです。そのためにも、演奏家としてコンプレックスを感じている部分があって、そこに向き合っていきたいなと感じています。具体的には、やはり先ほどお話した室内楽やソロについて、まだまだ場数や経験が足りないと感じています。ですから、オーケストラの仕事だけでなく、自分でもプラスアルファの努力をしていきたいです。

 

MM:学生さんへのメッセージももしあれば、お願いいたします。

 

中村:学生のうちに、なるべくやりたいことをやっておいたほうがいいと思います。というのは、社会人になってからはまとまったお休みを取るのも大変ですから。コンクールやセミナーも、お金がかかることですが、学生のうちに投資すべきです。特にコンクールは社会人になってから受けるのは大変ですので、学生のうちに受けたほうが良いと思います。室内楽も、身近にお友達がいる恵まれた環境のときにたくさん挑戦したほうが良いです。そのような経験はきっと強みになります。

 

MM:それにしても、今後の目標も真っ先に音楽や演奏のことが出てくるのが中村さんらしいなと思います。

 

中村:音楽以外だと…英語ですね。出来て損は無いと分かってはいます。本気になれば時間を作れると思うのですが、なかなかまだ…。いえ、言い訳にせず、頑張ります!

 

♪中村楓子さんご出演コンサートのお知らせ♪

【中村楓子・井上響子 ヴァイオリン&ピアノ デュオリサイタル】
■日時 2018年7月31日(火) 18:00開場 18:30開演
■会場 江東公会堂 ティアラこうとう 小ホール
■チケット 2,000円(全席自由)
■プログラム ショーソン:詩曲 ストラヴィンスキー:ディヴェルティメント 他
■出演者 中村楓子(ヴァイオリン) 井上響子(ピアノ)

【弦楽四重奏とマリンバで聴くボサノヴァ】
■日時 2018年9月29日(土) 18:30開場 19:00開演
■会場 トーキョーコンサーツ・ラボ
■チケット 3,500円(ティーサービス付き)
■プログラム アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲等
■出演者 ヴァイオリン:和泉晶子・中村楓子 ヴィオラ:正田響子
チェロ:小林幸太郎 マリンバ:大原青依 アレンジ:遠藤真理子


2018年07月25日 | Posted in キャリア紹介 | | No Comments » 

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