【気になるニュース】エイベックスがJASRACから離脱!?著作権の一部を別の管理会社へ任せるとは?

JASRAC,エイベックス,著作権,移行,イーライセンス

紅葉が見頃な時期になりました。芸術の秋も本格化してくるこの頃。
ゆっくりと音楽を聴きながら、心地の良いひと時にどっぷり浸かってみたい・・・。

しかし、そんな時期であっても決してのんびり出来ないあたりが、さすが音楽業界。

先週末、エイベックスが著作権の一部をJASRACから別の会社に移行する、という驚きのニュースが発表されました。では、何が驚きなのか、また今回のニュースを皮切りに音楽業界に期待することについて、考えていきたいと思います。

=================================
◆エイベックスがJASRAC離脱 音楽著作権、独占に風穴
 (2015年10月16日/日経新聞電子版)
 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ15HUP_V11C15A0EA2000/

※リンクは日経新聞電子版ホームページに飛びます。
※記事の全文を見るためには会員登録(無料コースあり)が必要です。
==================================

エイベックス・グループ・ホールディングスがJASRACに信託していた楽曲の一部(約10万曲)の著作権管理を(株)イーライセンスに移行する、というニュースです。エイベックスの10万曲を以降後も、依然としてJASRACが管理している楽曲数は300万曲相当になりますが、今回のエイベックスの動きに追従するレコード会社が現れれば、音楽著作権ビジネスが転換するきっかけになるかもしれません。

 

まず、著作権とは?


おさらいまでに、著作権とは、創作者自らの思想や感情によって表現した言語、音楽、絵画、建築、図形、映画、コンピュータプログラムなどの著作物を支配・管理する権利のことです。著作権を保有することにより、自身の著作物を第3者に無断で使用され、自身の活動や生活を脅かされる事態を回避することができます。この著作権保有者を“著作権者”と呼び、音楽関係者でいえば、作曲者や作詞者及び音楽出版者などが著作権者にあたります。

※注意:しかし、著作権は他者へ譲渡することが可能な権利です。著作物を作成しただけでは“著作者”となり、その著作権を保有して初めて“著作権者”となるので、全ての作曲者・作詞者に著作権があるわけではありません。

 

JASRACとは?


JASRACの正式名称は、一般社団法人日本音楽著作権協会(Japanese Society for Rights of Authors, Composers and Publishers)で、読んで字のごとく、音楽の著作権を管理している会社です。具体的には、前項の著作権者(著作権を保有する人)の著作権を信託され、著作権者に代わってJASRACが第3者機関への楽曲使用許可及び使用料の徴収を行い、そこで徴収した使用料の一部を著作権者へ再配分する業務を行っています。

【図】151021JASRAC_ビジネス図式

 

JASRACが著作権管理ビジネスの市場を「独占」している、とは!?


日本には市場の公平性を保つために、ある特定の事業者が市場の利益を独占することを禁止した“独占禁止法”があります。この法令により、特定の分野や商品について、他事業者の新規参入を故意に阻み競争の自由を取り上げることやユーザーに対して1つのサービスや商品のみを強要することは禁じられています。
そんな中、日本の音楽著作権ビジネスの市場シェアはJASRACが98%強、残り2%弱を(株)イーライセンスと(株)ジャパン・ライツ・クリアランスが担っているという状態にあり、今年の4月に最高裁より「JASRACは他の事業者の参入を著しく困難にしている」という判決を言い渡されました。この状態を作り出してしまったきっかけとして、JASRACが採用している「包括徴収方式」という契約形態があります。これは、放送事業者が放送事業収入の1.5%を使用料としてJASRACに納めることで、使用曲の内容や頻度、放送時間などを問わずに、JASRACに登録されている全ての楽曲を自由に使える契約になります。JASRACの強みを活かした契約形態である一方、この契約形態によって放送局などのクライアントの抱え込みが生じており、イーライセンス及びジャパン・ライツ・クリアランスなどの新規参入に困難な状況を作り出しているとして、最高裁の上記判決に至りました。

 

今回のニュースで何が変わる・・・!?


まず、事実上、JASRACが市場を独占してしまっていることによって起こる2つの問題を軽減できる可能性があります。問題の1つめは、JASRACに権利が集中するあまり、JASRACと著作物の使用者の間に対等な関係が築きにくいということ。市場の独占化が進むとサービスや価格面の見直しが滞りやすく、JASRACから提示された条件が(たとえ適正な条件でなかったとしても)著作物使用者が承諾せざるを得ないパワーバランスを作り出してしまう恐れがあります。このJASRAC一強の状態を抜け出すことで、音楽著作権ビジネスの様々な形を模索できるかもしれません。2つめの問題は、JASRACの著作権管理方法が現代の状況に即しておらず、結果的に音楽業界の発展を妨げている可能性があるというものです。これは、日本の音楽業界ならびに世界の情勢や仕組みが変化していることが背景にあります。1990年代、日本でCD売り上げが最盛期だった頃は、「音楽はCDを買って聴くもの」ということが音楽ファンの共通認識であり、CDがどれだけ売れたかというのがアーティストや音楽業界の評価軸でもありました。しかし、現在は音楽が必要とされる場がCDの中だけではなくなっています。例えば“音楽マーケティング”のように、何かの商品を宣伝する際のユーザーへの訴えかけを強化するためのマーケティングツールとして使われる場面も出てきました。またアーティストプロモーションの観点で、アーティストをより多くの人に知ってもらうために音楽自体は無料配布したい(その後のライブ収入やグッズ販売で収益を得たい)と考える音楽業界の会社も出てきました。今回のニュースは、このような様々な音楽の使われ方がなされている現代において、既存のJASRACの著作権管理方法は果たして妥当なのかどうか、ということを世間に問いかける形となりました。

 

しかし、ここで忘れてはいけないのは、JASRACがあったからこそ、今まで作曲家・作詞家または音楽出版社の権利が守られていたということは紛れもない事実であり、その功績は大変大きいものだということです。ただ、近年のビジネスのグローバル化や2020年の東京オリンピックに向けて文化・芸術活動をより活性させていく過渡期において、音楽業界全体で様々な可能性を考えていかなければいけないタイミングなのかも知れません。

以上、エイベックスが一部の楽曲をJASRACからイーライセンスへ移行した記事について、お伝えしました。今回のニュースによって、劇的に何かが変わる、というよりは音楽業界や著作権ビジネスの在り方にエイベックスが一石投じた、というところでしょうか。

皆さんも色々な記事を読みながら、このニュースに対して自分はどう思うか、考えてみてくださいね。

 


関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です