【音楽業界キーワード】Appleのストリーミング配信事業参入!?からみる音楽業界の変化

【写真】女性_音楽視聴(GATAG_フリー)

先週(3/30~4/5)に起きた音楽業界でホットなニュースといえば、英ファイナンシャル・タイムズが伝えた「欧州委員会が、Appleが計画する音楽配信事業について調査している」というニュースでしょうか。

本日は、このニュースをもとに近年の音楽業界の歩みや今後の展開について、考えてみたいと思います。

参考記事:ロイター通信「欧州委、米アップルが計画する音楽配信事業を調査=FT」(2015/4/2)

 

Appleが新たに計画する音楽配信事業について


今までiTunesを使った音楽ダウンロード事業に特化していたAppleが、初めて“新しい音楽ストリーミング配信サービスに乗り出すのでは?”と報じられたのは2014年5月のこと。デザイン性に優れた高温質なヘッドフォンや定額制音楽ストリーミングサービス「Beats Music」を提供している米音楽企業のBeats ElectronicsをAppleが買収すると発表したことがきっかけでした。

Appleが計画している新しい音楽配信事業についての正式な発表はまだなされていませんが、有料の音楽ストリーミング配信サービスになるだろうと言われています。

 

これまでのAppleと視聴媒体の歴史


ここで、今日までの“音楽メディアの歴史”を紐解くことで、音楽業界におけるAppleの位置づけを見ていきましょう。

 

◆レコード

世界初のレコードは1857年にフランスで発明された“グラモフォン”であると言われています。その後改変を繰り返し、1947年には実用化に成功。1947年に開発されたレコードは従来のものと同じサイズで格段に長い時間再生できることからLP (long play) と呼ばれ、音楽ファンの間で親しまれました。

 

◆カセットテープ/コンパクトカセット

オランダの電機メーカーが、1962年に開発したオーディオ用の磁気記録テープ媒体のことです。その後、1970年代以後は携帯の容易な音楽用メディアとして広く普及し、手軽な録音媒体としてレコードのダビングや放送番組の録音などに幅広く活用されました。

 

◆CD(コンパクト・ディスク)

直径12cmまたは8cm、厚さ1.2mmのプラスチック製の円盤上の記録媒体のことです。1965年から開発が始まり、1982年に生産を開始。1991年にはCD売上がカセットテープ売上を上回りました。レコードやカセットは両面に楽曲が収録され、表側をA面、裏側をB面と呼んでいたのに対し、CDは一面しかないことから、メインの曲を「タイトル曲」、2曲目以降のB面に相当する曲を「カップリング曲」と呼んでいます。

 

◆MD(ミニディスク)

ソニーが1992年に発表したデジタルオーディオの光学ディスク記録方式、及びその媒体のことです。発売当初は、再生専用ディスクと録音用ディスク、ハイブリッドディスクの3種類が規定されていましたが、CDよりも音質が劣る等の要因から次第にMDは「CDをコピーして外に持ち出すことのできるメディア」(録音用ディスク)として認識され、アーティスト楽曲の再生用ディスクとしては普及しませんでした。

 

◆ダウンロード配信サービス

インターネットを通して、「MP3」や「WAV」といわれる形式で圧縮されたデジタル音声データを自身の再生機器やパソコン等のディバイスに保存できるサービスです。2004年に初めて音楽メディアの売上に「ダウンロード」という項目が出現しました。

このダウンロード配信市場で一番の売上を誇るサービスが、Appleの「iTunes」です。音質こそCDより劣るものの、故スティー・ブジョブスの『1000曲をポケットに』というプレゼンのもと、2001年の発売以降、iTunesとiPodの組み合わせは、若者の間で爆発的なヒットとなりました。

 

◆ストリーミング配信サービス

インターネット等のネットワークが使用できる環境で、データを受信すると同時に音楽や映像の再生を行うサービスのことです。上記のダウンロードサービスでは、ダウンロードした楽曲を自分のディバイスに保存するため、ディバイス自体の保存容量を圧迫していましたが、ストリーミング再生はインターネットを通してのみ再生されるため、データ容量の不安は解消されました。しかし、自身のディバイスに保存できないため、インターネットが繋がらない環境では音楽を聴くことが出来ないという難点もあります。

(ストリーミング配信サービスについては、前回の記事もご参考にしてください。)

日本の音楽業界を変える!?キーワード:「Music Unlimited」から「Spotify」へ

 

音楽は有料からフリー、そして時代は“共存”へ?


上記のとおり、音楽業界では、時代の流れとともに楽曲を視聴するための様々な媒体やサービスが登場しました。そして楽曲提供の仕組みが変われば、価格も変わります。

まず1900年代~2000年代頃まで主流であったレコード・カセットテープ・CD(及びMD)はユーザーが有料で購入し、その収益の一部がアーティストに還元される仕組みでした。そしてダウンロード配信サービスの出現により、ユーザーは1曲ずつの購入が可能になった反面、CDアルバム自体の売上は下がり、結果アーティストの収益が減るといった事態に直面しました。さらにYoutubeなどの無料でのストリーミング配信サービスの出現により、楽曲視聴における“フリー(無料)”化の流れが起き、さらにアーティストの収益を圧迫しました。

そんな中、新たなサービスとして注目され始めたのが現在Spotifyなどの若い会社が牽引する定額ストリーミングサービスあり、今回新たにAppleが参入しようとしている分野です。Spotifyとの差別化としては“有料”のみでの楽曲提供になる可能性が高いとのことから、アーティストや音楽業界からのニーズは高そうです。しかし、お金も権力も?あるのがApple社。現在ストリーミング配信サービスの市場を牽引しているのはSpotifyなどの若く小規模な会社のため、Appleが参入することで公正な競争が保たれないのではないかという懸念から、今回欧州委員会がAppleに対し調査を申し出たようです。

 

以上、先週(3/30~4/5)に音楽業界で話題になったニュースについて、記事にしてみました。

もちろん無料のストリーミング配信サービスも、“楽曲を売る場”ではなく“自身の楽曲や音楽性をPRする場”と捉えることで、アーティストにとってマイナスなことばかりではありません。いまや音楽家やアーティストであっても、世の中の流れやニーズに沿って自分自身をプロデュースしていくセルフプロデュース力が求められる時代だからこそ、新しいサービスを真っ向から否定してはいけないと思います。

ただ、個人的な意見としては、「ものを創る」ことに対して“敬意を払う”という概念において、楽曲を有料で提供するAppleの新サービスに期待しています。

無料サービスと有料サービスの棲み分けをしっかりと考え、どちらのサービスも共存できる世の中にしたいものですね。

 

 


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