音大生のキャリア紹介:大学職員×作曲家 平泉奏さん②


IMG_8689 秋田県出身。洗足学園音楽大学作曲専攻音楽・音響デザインコース卒業。これまでに作曲を延原正生、渡辺俊幸、毛内彩子、三上直子の各氏に師事。クラシックや現代音楽を中心に、映像音楽等について学ぶ。

第18回朝日作曲賞(吹奏楽)ファイナリスト。第5回TIAA全日本作曲家コンクール(ソロ部門)入選。2011年、フィンランドにてリエクサーブラスウィークに招待団体の指揮者として参加。現在、㈱ウィンズスコアよりアンサンブル楽譜が発売中。洗足学園音楽大学職員。

今回は、現在大学職員として働きながら、作曲家としてもご活躍中の平泉奏さんのインタビュー第2弾です。前回の記事はこちら。

ミュージックメイト(以下、MM):本日はパソナ(前職)時代には聞くことができなかったお話がたくさん伺えて、とても嬉しいです!さて話は変わりますが、前職から今のお仕事にステップアップされるにあたり、何か変化はありましたか?

平泉さん(以下、平泉):お客様というか、向き合う相手が変わったことが一番大きかったですね。前職であるパソナの仕事では、たとえば派遣スタッフさんとのお打合せや、若くても大学3年生・4年生の方など、ある程度ご自身の将来に対して自分なりの考えをお持ちの方を対象にしていました。今は、主に高校生の方やその保護者の方、または先生方とお話しすることが多いので、それぞれの方の“目線”や“気持ち”を意識しています。自分に何を期待してくださり、どんな情報を求めているのか常に考えて行動を起こしますね。そういった意味では、音楽家が舞台の上で“見られる”経験は、営業の時の度胸や立ち振る舞いに活きている気がします。

MM:悩みを打ち明けて下さる高校生の方も多いのですか?

平泉:何名かの方はいらっしゃいますね。自分自身も音楽大学を卒業した身なので、彼ら・彼女らの悩みに誠意をもって向き合いつつ、僕のこの働き方が音大卒業後のキャリアの1つとして彼らの選択肢の中に加われば嬉しいなと思っています。

MM:ハードに働きながらも音楽活動の手も緩めない平泉さんの姿勢は、次の世代の音楽家達の憧れになりそうです。そういえば、平泉さんは前職時代に作曲家コンクールでご入賞されていましたね!その時のお話を詳しくお伺いできますか?

平泉:TIAA全日本作曲家コンクールですね。入社2年目の時に受けて、入賞しました。

MM:どういったコンクールだったのですか?

平泉:歌唱部門、室内楽部門・・・といくつか受験するジャンルはありましたが、僕はソロ部門で10分強のピアノ曲を提出しました。応募資格に年齢制限はなかったですが、結構若手の作曲家の方が多い印象でしたね。

MM:会社員として仕事をしながら、作曲活動をされたのですか?

平泉:そうですね・・・。曲の元になるテーマみたいなのは学生時代に構想していたのですが、いざTIAA全日本作曲家コンクールに応募すると決まって、そこから2~3ヶ月かけてブラッシュアップをしたという感じです。作曲ってこのブラッシュアップが結構時間のかかる作業なんです。

MM:なるほど・・・・!働きながらだと尚一層大変だったのではと思います・・・。現在の音楽活動は、依頼を頂いて作曲するような実業メインでやっていらっしゃるのですか?

平泉:ここ数年は、実業メインでしたが・・・、実は来月に作曲コンクールを控えているんです。(笑)

MM:そうだったんですか!!お忙しい中恐縮です・・・!!

平泉:忙しい時期は重なるもので、作曲コンクールの他にも、横浜室内合奏団の方からご依頼頂いているフルートと弦楽器のための曲や、学生の方からご依頼頂いた20分程度の吹奏楽曲の提出期限も来月に集中している状況です。

MM:そんなに・・・!一度にたくさんのお仕事を進めるにあたり、何かコツがあるのですか?

平泉:必死で取り組むだけです。(笑)確かに、今回みたいに色々と重なってしまうと苦しいこともあるのですが、でもまずはチャンスを頂けたことに感謝をするべきだと思うんです。音楽業界は目指す方も多いので、一人一人に与えられるチャンスってとても少ないです。今後、自分が作曲家として生きていきたいのなら、もちろん責任の持てる範囲は決まってしまいますが、ご指名頂いた仕事はたとえ自分がどんな状態であったとしても気持ちよくお受けし、誠心誠意お応えするべきだと思っています。その姿勢を維持し続けていることは、私の武器の一つだと思います。

MM:平泉さんのお人柄がとても伝わってきます。考えてみると、たとえ音大を出たとしても平泉さんのように定期的に作曲の依頼を頂ける人は少ないのではと思います。たとえば依頼をくれそうな方との人脈作りなどで、工夫されていることはありますか?

平泉:私は、作ろうと思って作ったコネクションは結局長いお付き合いになることはないと思っています。個人的には、若いうちは初めからwin-winの関係を求めるのではなく、まずは目の前の方の要望に100%で応えること。その結果が、コネクションというか、その方との長いお付き合いに繋がっていくと思っています。

MM:勉強になります。そういった人と人との関係作りについて、師事していた先生から教わったのですか?

平泉:先生から教えていただいたことももちろんありますし、社会に出て自ら学んだ経験も大きかったと思います。日本のビジネスって、根底には「こうしたらもっと世の中が良くなるだろう」「もっと快適に暮らせるだろう」という他者に対する“おもてなし”だったり“サービス精神”があるように感じています。一度社会に出て、お客様やクライアントの方々に誠心誠意お応えする先輩方を出会えたことで、自分自身の音楽活動のスタイルに還元されたのだと思います。

MM:社会に出た経験が、ご自身の音楽活動にも活きるというのは、本当に素晴らしいことですね。
そんな大学職員としても作曲家としてもご活躍中の平泉さんですが、今後のキャリアプランについてはどのように考えていらっしゃいますか?

平泉:作曲家としては、ただ「なんでもやりますよ!」という感じでなく、「平泉奏」にこそ頼みたい、と思ってもらえる作曲家になりたいと思っています。世の中に溢れている単なる耳馴染みのいい音楽を量産するのではなく、世界に一軒のこだわりのメニューを出すレストランのシェフになりたいですね。(これは私の師匠の言葉です)お仕事面については、僕も社会人7年目になりましたので、若い方々に対して音楽家のキャリアやビジネスの要素を伝えていけるよう努力していきたいです。

MM:ありがとうございます。最後に、このインタビューをお読み頂いている学生の方々にメッセージを頂けますか?

平泉:学生のうちに色々な経験をして頂きたいなと思います。たとえば、音楽であれば普段自分では弾かないジャンルの演奏に挑戦してみる、演奏会ではMCや企画・運営にチャレンジしてみる、など視野を広く持って行動してほしいです。“楽器の演奏ができます”以外に、他者と自分を差別化するような経験が、卒業後のお仕事に結びつくこともあります。大きいコンクールに入賞することだけが音楽家としての成功ではないと思いますので、自分はどんな演奏家になりたいのか、そしてそのためにはどんな準備が必要なのかを考えて、大学のイベントやサービスを積極的に活用して頂きたいなと思います。

MM:音楽の道であっても他者と自分の“差別化”について考えていくべきだというのは、まさに仰る通りですね。本日はお忙しい中、大変貴重なお話を誠にありがとうございました。

平泉:ありがとうございました。

フィンランドへ演奏旅行の際に現地のスタッフと♪

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